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理学療法士による身体活動研究チャンネル。医学に関する専門的な知識を動画を使い説明しています。解剖、運動、生理学はテキストで勉強するよりもビジュアルを通して学んだ方が記憶にのこるのではないかと思い、学生時代からこの活動を始めました。今後は臨床で感じた新たなニーズを等身大で表現していきたいと思います。※身体の活動には個人差があります。ご心配な方はお近くの医療施設にご相談下さい。

2011年5月31日火曜日

第1回療法士.com主催セミナー告知動画【起業療法士 石井編】

お仕事させて頂きました。
個人的にも大変興味あるセミナーです。

起業というキーワードはこれからの療法士業界に大変重要になってくるのではないでしょうか。

理学療法士が溢れていると言われている昨今、今後療法士として生き残るすべはなんでしょうか。

人と同じ事をしていても、埋もれてしまうだけです。
常に新しい何かに挑戦する事を忘れずに進めば何か見えて来る。

今回のインタビーを通して学んだ事は療法士の免許を取得することがゴールではなく、遠くその先きにあるということです。

ふと気づけば、既にとなりの人は始めているかもしれません。

気になった人は療法士.comのサイトで今直ぐチェック。
新しい何かが見えるかもしれません。



http://ryouhousi.com/modules/seminar/detail.php?sm_id=587

2011年7月3日開催の第1回療法士.com主催セミナー、【若手療法士"この能力"だけは身につけたい! -動作分析能力・コミュニケーション能力・療法士業界の今後を考える能力-】の告知動画、起業療法士の石井編。

起業療法士である石井ならではの独自の【療法士業界の今後を考える】の続きを聞き、療法士業界で生き残りたい方は、療法士.com主催セミナーへ­!

身体活動研究チャンネルはこちらです。

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2011年5月27日金曜日

股関節の靱帯 ligament of the hip : 身体活動研究



今回は股関節の靱帯についての動画を作成してみました。作成理由としては自分自身解剖が苦手なので、勉強と再確認の意味です.大腿骨頭を取り巻く靱帯を立体的に表現したかったのですが,自分の今の力量では難しいものがありました.また大事になってくるのが緊張する肢位や弛緩する肢位だと思ったので,載せました.

今後は股関節の機能的解剖学についての動画を作りたいと考えています.

股関節の靱帯
1.股関節の構造
股関節は身体の典型的な臼状関節である.大腿骨頭は多くの靱帯と筋により寛骨臼に確実に保持されている.厚い関節軟骨,筋,大腿骨近位の海綿骨は常に股関節にかかる大きな力の減衰を補助する.これら保護機構が疾患や損傷によって破綻すると,関節構造が崩壊される.

大腿骨頭:大腿骨頭は(鼠径靭帯)の中1/3のすぐ下に位置している.成人の両側骨頭の中心間距離は平均17.5cm(6.9インチ)である.大腿骨頭はほぼ完全な球面の2/3を形成する.
骨頭中心わずか後方の顕著なくぼみが大腿骨頭窩である(図1).


股関節靭帯
関節の結合力を強化するために,関節には靭帯が備わっている.靭帯はまた,関節の方向を制限したり,過渡の関節運動を防止する.靭帯は平行密性結合組織であり,関節包の線維膜と連続して関節包靭帯となったり,関節包とは分離した関節包外靭帯となったり,あるいは関節包より内側にある関節包内靭帯となる.

股関節の靭帯は,関節包を補強する関節包外靭帯である①(腸骨大腿靭帯),②(恥骨大腿靭帯),③(坐骨大腿靭帯)により構成され,運動を制限している.

その他の靭帯には関節包内靭帯である④(大腿骨頭靭帯),⑤(寛骨臼横靭帯),⑥(輪帯)などがある.

腸骨大腿靭帯
人体で最も強い靭帯で,直立したときに,股関節が過伸展することを制限する機能を有している.(直立姿勢の保持を助ける)下前腸骨棘と寛骨臼上縁から起こり,転子間線に付着し関節包の上面及び前面を補強する.付着部は上外側と下内側に区別され,Y字を逆にしたような形のためY時靭帯とも呼ばれている.走行位置から大転子辺りに付着する上外側部は,股関節の(外旋,内転,伸展)を制限し,転子間線あたりに付着する下内側部は(内旋,伸展)を制限する.
恥骨大腿靭帯
寛骨臼縁の恥骨部と腸恥隆起を起始部とし,腸骨大腿靭帯の内側部に混じり付着する.股関節の(外転)を制限する.
坐骨大腿靭帯
股関節の関節包の後方を補強する靭帯.寛骨臼縁の坐骨部から起こり,大腿骨頸部後面かを外上方に走り,大転子内側に付着する.股関節(内旋)を制限するが,股関節(過伸展)も制限する.

大腿骨頭靭帯
この靭帯には,骨の連結を補強するという靭帯としての機能はほとんどない.寛骨臼切痕及び寛骨臼横靭帯と大腿骨頭窩に付着している.股関節を(屈曲・内転)すると靭帯は緊張し,(外転)すると弛緩する.関節包内に存在し,周囲は滑膜に覆われている.

寛骨臼横靭帯
寛骨臼切痕の上方を覆うように付着し関節臼を補う.

輪帯
大腿骨頚部の最も狭い部分を巻き,関節包の過度の伸展を抑制し大腿骨頭が抜けないように安定させている.

参考図書
中村隆一 ほか,基礎運動学 第6版,医歯薬出版. 2009

嶋田智明他監訳, 筋骨格系のキネシオロジー.医歯薬出版株式会社,2006
奈良勲他監修, 標準理学療法学 作業療法学 専門分野 解剖学 第2版, 医学書院 2008

第2版が出てました!

実習先の先生が良く読んでました!!

2011年5月18日水曜日

理学療法士を目指して最終学年(5月)

最終学年のスケジュールをお話する動画を作ろうと思っています。

しかしながら、時間がありません。
取り急ぎ、テキストでまとめてみます。

最終学年において行うことは大まかに3つです。

○臨床実習
○国家試験
○就職活動

この中でも特に大きな割合をしめるのが臨床実習だと思います。

そして、この時期はほとんど全ての時間を実習対策に使いますが、今年の国家試験合格率約73%
という数字を考えると国家試験対策も当然のことながら無視することはできません。
なので、現段階で行うことは実習と国家試験に共通する勉強を行うことだと考えています。

また、昨今の社会情勢を考えると就職活動も進めなくてはありません。
私の周りでは、徐々に施設見学などを行っている学生がいます。

必要以上に焦っても仕方がありませんので、ひとつひとつ整理して片付けて行くことが大事です。


2011年5月15日日曜日

【運動学】運動路 Corticospinal tract : 身体活動研究




動画で簡単にまとめましたが、いろいろと資料を読んでまとめたテキストを記載します。
あくまでも、個人的な見解なので、人のノートをかいま見たという気分で見て下さい。

参考文献が明らかでないのもあります。すいません。

下行性伝導路の定義としては下記のように記載されています。
「中枢神経系の上位から下位に向かって走る神経線維束は、さまざまな下行性伝導路を構成している。これらの中には運動系のみでなく、感覚系や自律神経系を制御するものも含まれる。」

勉強していて自分が分かりずらかったのは中枢神経の上位?下位?というところです。
まず、中枢神経は脳と脊髄に分かれるため、上位は脳、下位は脊髄と解釈して良いと思います。

そして下行性伝導路の運動系にだけ焦点を当てれば、幾つかの経路があります。動画では4つの経路としています。(細分化すれば、行く通りも出来るのだと思います。そして文献により違います)

外側皮質脊髄路
前皮質脊髄路
皮質核路
顔面神経へと接続する経路

今回は主に下位(脊髄)までの経路である皮質脊髄路についての動画を作りました。


皮質脊髄路 corticospinal tract について
皮質脊髄路は大脳皮質第5層より起こり脊髄に終わる伝導路である。皮質脊髄路は延髄の腹側にある錐体を通過することより、錐体路 pyramidal tract ともいう。 

皮質脊髄路は大脳皮質の運動野(第1次運動野、運動前野、補足運動野)の第5層に位置する大型錐体細胞より起こる。また、運動野ばかりではなく、中心後回の第1次体性感覚野(ブロードマン3-1-2野)からも起こる。

走行
皮質脊髄路線維は、大脳皮質第5層より起こり、内包後脚の前端を下行し、中脳レベルでは大脳脚(狭義)、橋レベルでは縦橋線維として橋腹側部、延髄レベルでは延髄腹側の錐体を下行し、延髄の下端にて左右の線維が交叉して錐体交叉(運動交叉)pyramidal decussationを形成する。錐体交叉にて交叉する線維はおよそ全体の70~90%で、反対側の側索を外側皮質脊髄路(錐体側索路)として下行し、最終的に脊髄運動ニューロンに直接、あるいは脊髄介在ニューロンを介して間接的にシナプス結合する。一方、錐体交叉にて交叉しなかったおよそ10 ~30%の線維は、同側の脊髄前索を前皮質脊髄路(錐体前索路)として下行するが、結局、脊髄レベルの白(前)交連で交叉し、反対側の運動ニューロンに接続する。ただし、外側皮質脊髄路(錐体側索路)は全脊髄にわたり存在するが、前皮質脊髄路(錐体前索路)は上部頚髄で終わる。

※非交叉性の前皮質脊髄路も、脊髄レベルに おいて白(前)交連で交叉し、反対側の運動ニューロンに終わるので、交叉性・非交叉性に限らず、皮質脊髄路線維は反対側の運動ニューロンを支配することになる。

とあります。よく脳血管障害では出血や外傷により障害を受けた反対側に症状が現れるのはこのためです。そして錐体路と錐体外路という言葉に必ずぶつかります。
自分もぶつかって3年目です。

生理学の教科書などには「錐体路は指の運動のような微妙な運動の調節に、錐体外路は体幹の運動のような大ざっぱな運動や姿勢の調節に関与する」とあります。

よくわかりません。

そして下記のような文献を見つけました。(断片的にpdfを持っていて、参考文献が明らかでないのですが、非常に分かり易い説明だと思います。)

※どなたか元の文献名が分かれば教えて下さい。

錐体外路系と錐体路系 : 錐体路以外の脊髄運動ニューロンに収斂する脊髄下行路系(例えば赤核脊髄路や網様体脊髄路)、さらに大脳基底核や小脳を中心とする運動制御回路をまとめて錐体外路系と称することがある。そして錐体路に随意運動、 錐体外路に不随意運動という機能を与え、これを対比的、図式的に考察することが特に日本で盛んに行われた。しかし、この対比は不毛であり、我が国におけるこのような伝統的思考は不幸であるといわざるを得ない。そもそも錐体路系と錐体外路系の間には多くの結合があることより、両者を分離して考察することは不可能である。それにサルの錐体路を切断しても、切断後24時間で立ち上がったり、手で檻を掴んだり、エサに手を伸ばすことなどから、錐体路の損傷による随意運動の障害は永続的ではない。また錐体路は、錐体外路系に属する大脳基底核の主要な出力系でもあり、 大脳基底核の障害による不随意運動は、錐体路の切断によって消失する。故に錐体路は不随意運動とも無関係ではない。錐体外路の概念を初めて提出したのは Jacob(1923) である。ヤコブは筋緊張異常や不随意運動を特徴とする異常運動が大脳基底核の障害で発現すること、そしてその症状が錐体路症状と異なることより大脳基底核を錐体外路系と称した。この初期の概念に立ち返り、錐体外路系を大脳基底核に限定すること、そして錐体路 = 随意運動系、錐体外路 = 不随意運動系と二律背反的に考えないことを条件にすれば、錐体外路系という用語を用いて良いだろう。

まだまだ大脳基底核などの正確な役割などは分からないと聞いた事があります。そして実際の脳出血などをイメージすると、、、。


ヒトにおける錐体路障害の多くは内包における脳出血であるが、内包には錐体路線維以外にも多くの上・下行する線維群があるし、また内包に隣接する領域(視床、レンズ核、尾状核など)も出血巣に含まれるからで、臨床例の多くは錐体路単独の障害によるものではない。

経路を定義しても単独の障害がないため実用性がないのかもしれませんが、定義して細分化しないことには何も始まりませんね。

そして発生の経緯を理解すると小児の反射と病的反射が理解できました。

錐体路の個体発生:錐体路は個体発生においてもっとも新しく形成される伝導路で、髄鞘化も最も遅い。 その発達は、主に生後におきる。故に、新生児ではバビンスキー反射陽性である。生後1 年で錐体路の 髄鞘化が完成する頃にバビンスキー反射は消失する。

錐体外路障害ではハンチントン舞踏病やパーキンソン病など、大脳基底核の病変でおこり、代表的な症状は不随意運動です。

解剖の講義で錐体路や錐体外路について話を聞いた時はまったく経路がイメージできませんでした。そして評価学で病的反射の講義を受け、神経内科で運動麻痺や錐体路徴候について学び、ますます混乱は深まるばかりでした。

自分の経験ではまず、経路を理解します。そしてそれらは呼び名が幾つかあります。それらを実際の病状につなげます。これらを一つ一つ理解すると良いと思います。

ぼんやりしたイメージで進むと絡まった細い糸のように修正が利きません。一度絡まった糸を切るなり、ほどくなりしてから望みましょう!

何か間違い等がありましたらコメント下さい。
よろしくお願いします。

参考図書
中村隆一 ほか,基礎運動学 6版,医歯薬出版. 2009
松澤正,理学療法評価学 2版,金原出版. 2009
川平和美,標準理学療法学・作業療法学 神経内科学 3版,医学書院. 2009
佐藤昭夫 ほか, 人体の構造と機能 第2版 医歯薬出版 2009 


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2011年5月5日木曜日

【運動学】伸張反射 Stretch Reflex : 身体活動研究



伸張反射について

【筋紡錘と腱紡錘の構造】

筋には感覚受容器として筋紡錘と腱紡錘(腱受容器,ゴルジ終末)とがあり,筋の状態(筋の長さ)を脊髄に伝える.

筋紡錘は筋内にある長さが6~8mmの固有受容器である.形態は紡錘形で,筋の長さを検出する機能をもつ.筋紡錘の中央は非収縮性で,受容器を含み,両端には収縮性筋線維の錘内筋線維があり,これで錘外筋線維に結合する.鍾内筋線維は太い核袋線維と細い核鎖線維に分けられる.前者には動的と静的とがある.動的核袋線維の興奮は動的γ線維の活動で起こり,運動中に1次終末の長さ変化への感度を高めるが,2次終末への影響はあまりない.静的核袋線維は静的γ線維支配を受け,一定長にある筋の1次終末,Ⅰa線維の発射間隔を制御する.Ⅱ線維の発射頻度にも影響する.核鎖線維も静的γ線維の支配を受け,主に2次終末の感度を調節する.筋紡錘らせん型終末(1次終末)からの線維はⅠa線維,散型終末(2次終末)からの線維はⅡ線維である.

腱紡錘からの線維はⅠb線維である.腱紡錘は長さ約1mm,直径0.2mmの螺旋形で,筋線維の終末近くの腱にあり,腱に加わる張力を検出している.Ⅰb繊維の発射は張力に比例する.Ⅲ線維は筋圧受容器からの線維であり,痛覚に関係する.


【伸張反射のメカニズム】

骨格筋を急速に伸ばすとⅠa,Ⅱ線維からの入力によって筋紡錘が興奮する.そこから発する求心性入力は脊髄に伝わり,同じ筋の運動ニューロンに単シナプス性に興奮を伝えて,その筋のα運動ニューロンは興奮し筋収縮が起こる.これを伸張反射という.筋が短縮すると筋紡錘への刺激が減り,求心性入力は減少する.ひとつの筋の求心性線維(Ⅰa線維)は,その筋と共同筋の運動ニューロンとに興奮性に結合し,拮抗筋には抑制ニューロンを介して結合する(Ⅰa抑制).腱紡錘の閾値は筋紡錘の閾値よりも高い.そのため,筋は伸展されると伸張反射が起こるが,極度に伸ばされると筋断裂を防ぐために腱紡錘の興奮によってⅠb線維を通じ筋活動は抑制されて弛緩する(Ⅰb抑制).これが折りたたみナイフ現象の機序である.筋の伸展あるいは筋収縮の状態により,これらの神経線維群は異なった発射を行っている.このうち腱反射に主に関係するのはⅠa線維である.

伸張反射は伸ばされた筋がもとの長さに戻るように働く(自己調節機構).その反射弓は筋長を一定に保つための自己調節環である.

α運動ニューロンは末梢からの求心性入力と上位中枢からの入力を受けている.上位中枢からの入力の一部はγ運動ニューロン-筋紡錘-求心性神経の回路を介してα運動ニューロンに作用する.γ運動線維と求心性線維で成り立つ回路をガンマ環という.筋紡錘はγ運動ニューロンによって感受性が制御されている(ガンマ・バイアス:γ-bias).筋が一定長のとき,γ運動ニューロンが興奮すると錘内筋線維は収縮してⅠa線維からα運動ニューロンヘの入力は増加する.α運動ニューロンも興奮して筋収縮が起こり,筋紡錘の緊張は緩み,Ⅰa線維からの入力は減少する.筋長は短くなった位置にとどまる.随意運動では筋短縮によって筋紡錘が弛緩しないように,上位中枢からの運動指令がα運動ニューロンとγ運動ニューロンとを同時に興奮させる.これをアルファ-ガンマ連関という.

伸張反射には,筋が伸張されている間持続して起こる緊張性伸張反射(固縮)と筋が伸張された初期にだけ起こる相動性伸張反射(痙縮)があり,相動性伸張反射の代表的なものが腱反射である.


参考文献 
理学療法ハンドブック改訂第3版    細田多穂,他
日本人体解剖学 上巻 改訂19版    金子丑之助